ここに来る男の扱いは簡単だ。
煽てて、色目使って、お酒を飲ませておけば、それだけで喜んでくれる。
つくづく思う、男って単純な生き物だ。
私がここで働き出して2年になるけど、客に恋愛感情を持ったことはない。
これからも持つことはないだろう・・・そう思っていた。
ある雨の日に来た客・・・ 見た目は、30歳くらいだろうか。
黒い細身の高級感のあるスーツが品の良さを表していた。
いつものように、スーツや容姿を褒めて煽ててみる・・・が、反応は薄い。
ふと、彼はブランデーのグラスを置くと言った。
「君の夢は何?」向けられた瞳には、亡き兄のような優しさが溢れていた。 思わず涙が頬を伝った・・・ 私の夢は・・・シンガーになること・・・ 諦めかけていた夢だった。
事務所には入れたものの、仕事に恵まれずにいた。
東京に上京することを決めた時、両親や親戚が反対する中、兄だけが私を応援してくれていた。
その兄は、昨年交通事故で帰らぬ人となった・・・
涙を拭いて、客の顔を見上げると、客は「大丈夫、君の夢は叶うはず」と優しい瞳を向けたまま言った。 諦めかけていた
夢・・・もう一度挑戦してみようか。 仕事を終えて、店を出ると朝日が頬を照らした。
もう夢を手に入れるまで、絶対に諦めない! 私は心に誓った。
また、あのお客さん来てくれるといいな・・・
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